今回は「歯軋り・噛みしめ」についてお話ししようと思います。
「歯軋り」についてはみなさんよく知っていると思いますが、「噛みしめ」についてはどうですか?「歯軋り」や「噛みしめ」で歯を失うことがあると言うことをご存じでしょうか?
昔から「歯を食いしばる」とか「歯軋りをする」という言葉は、「我慢する」とか「イライラする」というような意味で日常的に慣用句として使われてきました。
歯には食べる、発音するという役割のほかにも、歯軋りをすることで精神的なストレスを発散する役目もあると言われています。しかし過度の「歯軋り」や「噛みしめ」は「ギリギリ」音がなって周囲の人の迷惑になるというだけではなく、口の中や周囲の組織に大きな影響を及ぼし、歯を失う原因にもなりかねないのです。そしてそのことはまだあまり知られていません。歯軋り・噛みしめは決して特異なものではありません。
大抵の人はやっているもので、一種のくせと考えて良いと思います。ですから、特に問題を起こさない限り、放置してもかまわないのですが、時には次のような問題を起こします。
①歯への障害
歯の摩耗、歯の破折、歯がしみる(知覚過敏)、噛むと痛い、詰め物がよく取れる、歯の根本がへこむ等
②歯周病の悪化
③入れ歯がよく壊れる
④顎関節への障害
口を開くと痛い、口が開きにくい、カックンとなる
⑤全身への障害
顔面痛、頭痛、肩こり、腕のしびれ、腰痛等
⑥歯のまわりの骨が変形する
これらの症状がすべて、歯軋り噛みしめから来るというわけではありませんが、無用な悪い癖は治しておく方がいいと思います。この癖は眠っている時とか、何かに夢中になっている時とかにするもので気づきにくく、治すものも同じ理由で治りにくいのです。
歯軋り噛みしめは気づきにくい
歯軋りは無意識下で行われます。夜寝ている時にギリギリ音を立てる人は、周囲の人から指摘されるかもしれませんが、ほとんどの場合、当事者自身は気づいていないようです。また、音がしない歯軋りが80%もあると言われているので、周囲の人も気がつかない場合が多いようです。日中している噛みしめの場合も、全く気づいていない方が大半のようです。いろいろな研究で歯軋り・噛みしめを全くしない人は、ほとんどいないことが判っています。(渡辺)
ナイトガードで歯を守れる!

それでは、どうしたら歯を守れるかというと、ナイトガードを使って頂くのが、良いと思います。上下どちらかの歯に厚さ1ミリのプレートを入れて、寝て頂くのが、一般的です。私(青木)は、ナイトガードを使い始めて、3年経ちます。使うと決めるまで2年かかりました。それは、夜寝られなくなるのが怖かったからです。ところが、知覚過敏をおこしたり、顎関節がはずれるようになってしまったので使い始めました。夜は熟睡できるので、心配は杞憂に終わりました。
歯軋りのお話をすると、すぐに信じて頂いて、ナイトガードを作ってくださる方も沢山いらっしゃいます。その反面、「私は歯軋りしてないって言われるから」「まだ作りたくない」と言われる方も多いです。気持ちは、とてもよく分かります。みなさんの気持ちを一番大切にしたい、だからみなさんが、自分で作りたいと思って頂けるまで待っています。
怖いのは知らないこと
私はむし歯や歯周病の予防にしても、「知らないことが一番怖いなあ」と感じます。ですから、みなさんに歯軋り、噛みしめについて、知っていただきたいです。そして心にとめて頂いて、何か心配なことがあったら私たちに相談してください!